ドボクなモノを見に行った

土木じゃない物も見つけてきた

鷽ノ口円形分水、やっぱり大好き円筒分水工

みんな大好き円筒分水工

どことなくノスタルジックでほのぼのとしたその円形構造 *1

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中央部のサイフォンからもっそりと噴出し波打つ水面*2

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オリフィスからコンクリートを叩く分水

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堰から零れる水音 *3

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時間が過ぎるのを忘れて現実逃避していられる円筒分水工

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とりあえず仕事だけでも忘れられられればイイのに、せめてあの物件だけでもいいんだけど、何とかなんないかなぁ~、寄り道している場合じゃないんだけど・・・

・・・カエルは現実逃避のイメージです(笑)

 

そんな私も円筒分水工好き

今回は、長野県佐久穂町の「鷽ノ口円形分水」へ行ってきました

 

 鷽ノ口円形分水(うそのくち)*4

中部横断自動車道八千穂高原ICから、メルヘン街道を進まずに石堂川沿いを車で10分程走れば辿り着きます

 

 

最初、道を間違えて山の方へ入って行っていまい「なんか変だなぁ」って振り返ったら下の方にチラッと見えたのが鷽ノ口円形分水

 

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やった! 円筒分水工が上から見える(笑)

土木施設って殆どがそうなんですが、なかなか上から見る機会がないんですよね

 

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Uターンして戻ってきて鷽ノ口円形分水の入り口

 

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ちょうど奥の除塵機から、塵芥搬出用の車両がターンして出るスペース程度しかないのでかんかい期間中は注意が必要ですね *5

 

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鷽ノ口円形分水の看板も設置されています

この手の看板って教育委員会が設置するんですねw 

 

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長野県の土地改良事業団体連合会のHPにある鷽ノ口円形分水パンフレットも詳しく書かれているので是非!(笑)

http://www.nag-doren.or.jp/wp/wp-content/themes/world/images/sosui/saku/pdf10.pdf

 

しかし、でかい!

直径6m、深さ1.2m、3つの用水路へ分水するオリフィス(開口)は「上村用水路へ28個」「佐口用水路へ13個」「小山用水路へ6個」の合計47個

オリフィスからの流出が見える円筒分水工ってなかなか面白いです

見ていて飽きない

 

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このオリフィスの数で不公平なく「見える」用水分配を行うことができ、長年続いていたらしい水争いが無くなったそうですが、円筒分水工に「激しい水争い」は付き物です。どこも、水争いを解決するために「これ」を造ったんですから(苦笑)

個人的には、水争いが激しいから分水工を「丸く」願掛けしたんじゃないかって思ったりします。だって、鉄筋を組むのも、型枠を立てるのも、断然四角「角筒分水工」のほうが造りやすいんですもん、機能は一緒だし(笑)

 

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仕事で、このような「かんがい用の施設」に携わっていると分かるんですが、この「見えるように分水」するのがトッテモ重要なんですね

 

以前、小さな分水工を改修するので地元と打ち合わせをしたとき

「開放型(円筒分水みたいなの)をやめてパイプを分岐させて先にバルブを付けて開度調整で分水量を管理しませんか?正確ですよ」って話をすると

管理をしている御高齢の農家の人がおもむろに立ち上がり

「争いの種になる、見えるように分水してくれ、今の形を絶対変えようお願いする」

「・・・・・・・(ラジャー!)」*6

無言で敬礼しそうになりましたもんね

 

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かんがい用施設は「」が絡むので結構シビアです。各分水量に合うオリフィスの数と高さ、あの水面高になるサイフォンの長さと大きさ、全て計算して決めます

そうそう、河から水を引いているからって「農業用水はタダじゃない」んですもんね

 

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ここが円筒分水工へ吹き上がるサイフォンの入り口

除塵機が付いていて、バーのようなスクリーンにゴミを溜めて掻き出す仕組み

 

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円筒分水工の中央がサイフォンの出口

看板にもありましたけど、水理学的には「逆サイフォン

異なる水面を凸状にパイプで繋ぐのが「サイフォン」で、円筒分水工のように凹状にパイプで繋ぐのが「逆サイフォン

殆ど使い分けているのを見ないし、一般的に凸凹両方気にしないでサイフォンって言ってしまいますが、私より年配の人(笑)には訂正されます

 

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円筒分水工って何処を撮ってもあまり変わらないのが玉に瑕です(笑)

 

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円形分水へ入る三叉路には「馬頭尊」の石碑*7

この左手に鷽ノ口円形分水があります 

 

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それでは、また。ありがとうございました

*1:写真は白岩寺円筒分水工をらしく(笑)加工したものです

*2:サイフォンとは、高さの違う水面をパイプで繋ぐと水が流れ始めるってやつです

*3:写真の溢水方式の円筒分水工は、世界かんがい施設遺産に登録さている「長野堰用水の円筒分水堰」です

*4:「鷽ノ口円形分水」ここでは円形分水と呼ばれていますが、一般的な呼称である円筒分水工と目的、構造ともに同じです

*5:田畑に水を送るのを「かんがい」といい、その期間は一般的に4月~9月、地域によって結構違うので「円筒分水工に水がある期間」と思っておけばOKです

*6:頭の中では「風の中のスゥッバル、砂の中のギィンガァ~」って流れていました

*7:馬頭観音は仏教で馬頭尊は神道、その地域によって違うんだって見たことがあります。この地方は石像が多いのですね