宇津ノ谷隧道、流石に明治のトンネル、煉瓦造りの隧道
出張で静岡の島田方面へ行った帰り道、東名高速に乗るのを少し節約して下道を走ると、寄り道も後ろ暗さが少なくなるような気がします
藤枝を過ぎて国道1号から脇道に入り宇津ノ谷峠、「明治のトンネル」って素敵な名前の場所を目指して
宇津ノ谷峠を越えるトンネルには、「明治のトンネル」と「大正のトンネル」と「昭和のトンネル」と「平成のトンネル」のがあり、全て現存し通行できる(明治の隧道は徒歩のみですが)貴重な場所です
県道から石畳の道を歩いて行くと、見えてきたのが「明治のトンネル」岡部口
いやぁ~こうでなくっちゃ!
明治9年に開通し、明治29年に一部が崩落。明治37年に崩落した一部を改築した延長203m、幅4.0m、高さ3.9m(静岡口の説明板より)の煉瓦積みの隧道。現存する煉瓦積み隧道のなかでも最古のクラス
もう流石、明治時代の施設でこの保存状態!
大切にされてきたんだろう、派手さはないけど雰囲気のあるポータル
【ポータル】とは、坑口(隧道が地表に出る付近)の入口正面構造の総称です。「トンネル縁のアーチリング」や「要石(キーストーン)」や「宇津ノ谷隧道って右から書かれた扁額」などをまとめて、おおむね下の写真全てをポータルと言います
隧道内部が煉瓦で組まれていても、ポータルのアーチリングは石の場合が多いんですけど、ここのアーチリングは全て煉瓦で組まれた4重のアーチ
そしてアーチリングが煉瓦で組まれた場合、多くの隧道は要石(キーストーン)が無いんですが、この「明治の隧道」には立派で装飾のある要石(キーストン)がありますね
ポータルに要石(キーストーン)がある煉瓦アーチって他にあったかなぁ?
選奨土木遺産では「明治、大正、昭和」の隧道群として登録されています
明治、大正、昭和か・・・別に深い意味はないけど、選奨土木遺産って結構この「土木遺産群」ってのが多いような気がするなぁ(笑)
さてさて、ワクワクしながら明治の隧道、岡部口から隧道内へ
閉塞感も危機感もなく安心して歩けるイイ感じです
仕事で老朽度の調査をする隧道なんて、狭くてヤバいのしかないから何だか幸せです(笑)
向こうに人影が見える、一人か・・・
そもそもブログを書き始めるのに時間がかかって、写真を見て思い出しながら書いているからドキっとしますね(笑)
バイク3人組の人達は憶えているんだけどなぁ・・・
隧道内の照明はカンテラ風と国土交通省のHPに書かれていたのを見ました(笑)
この隧道、明治29年にカンテラの失火事故で崩落し一時期閉鎖されていたんですよね
煉瓦の積み方は、スプリングラインから上部(白くなっているところ)が煉瓦の長辺ばかり見える「長手積み」、スプリングラインから下が1段毎に短辺長辺を変えて積む「イギリス積み」と隧道では比較的標準的な積み方
【スプリングライン】とはトンネルの天井アーチが始まる側部の位置で、トンネルの中で一番広くなる高さの位置(馬蹄型のトンネルだとわかりやすいですね)
場所によってカンテラ風の照明の色が違って見えます
独りで明治の隧道なんて歩いていると、ついつい妄想してしまいますね
あの色が新しい煉瓦1枚を「ズズズズズ」って引き出すと中に空洞があって・・・
とか、引き出した煉瓦の裏に謎の刻印があったりなど(笑)
照明の具合もあって、人が積んだ煉瓦は温もりを感じます。コンクリートと少し趣が異なるのは色なんでしょうね
この隧道は全長203mなのであっと言う間に静岡口に到着
静岡口、こちら側もまた雰囲気を出しすぎている苔生したポータル(笑)
静岡口には広場に四阿とトイレ、ジオラマなんかも置いてあります(笑)
ちょっと離れますが駐車場もありますね
しかし、こういう場所って一般の人にも需要はあるんだろうか?
このあと大正のトンネルを見て、清水から東名高速に乗って帰りました
(この日は東名高速の海老名・綾瀬あたりの事故通行止めにドハマりし、2時間半ほど高速で立ち往生、寄り道しなければ・・・いやいや節約しなければ良かったのかもw)