栄橋、設計者「中島武」の名前が付く選奨土木遺産群
最近、長野県の仕事が多く入ってくるので(ヘトヘトになりながら)結構楽しみに出張の予定なんぞを立てて(涙目で)ニンマリしている。
どの業界でもそうだけど、年度末はかなりキツイです。今年度はコロナ禍の影響で全て遅れがち、それに追い打ちをかける花粉症
鼻水を垂らしながら(花粉じゃない涙目で仕事して)長野県佐久穂町、千曲川に架かる栄橋を見てきました
選奨土木遺産にも「中島武設計の」と前置きに設計者の名前が入る栄橋、昭和13年竣工の鉄筋コンクリート造のカンチレバーローゼ橋
建築は「意匠設計、構造設計、設備設計」と別れるのでデザインを担当する意匠設計者の名前が出やすいけど、土木は「意匠、構造」をまとめて設計するので設計者の名前がなかなか表に出てこない
なので、こうやって堂々と「中島武設計の栄橋」って設計者の名前が出てくると何だか嬉しくなる
比較的よく見る鋼製のローゼ橋とは一味違うコンクリートのローゼ橋
そのフォルムはシンプルで無駄がなく、コンクリート特有のしっとりとして滑らかな質感を持つ。また鋼材と違い、塗装の必要がない姿はまさに無垢でとても綺麗
それほど大きな橋ではないけど存在感のある「中島武の栄橋」
因みにローゼ橋とは、この構造形式の提案者がローゼさんだったからw
千曲川の左岸側、JR小海線と反対方向に小さな駐車場があり、このような案内板が設置されている
中島武は、この栄橋の他に4橋のローゼ橋を設計架設しており、それら全てを「中島武設計のRCローゼ桁群」として選奨土木遺産に認定されている
立派な親柱!
親柱が設置される橋って、やっぱり重要な橋なんだと思う
建設時に設計チームの誰か若い奴が「ここの橋に親柱は設置しますか?」って言ったら
上司が「当たり前だろう!」って怒鳴り
地元説明会なんかで住民が満場一致で「設置しましょう、立派なやつを!」BGMに中島みゆきが聞こえてきたり
発注者が「まっ、そうですね」ってドライに言った帰りに、車の中で破顔するドラマみたいなのを勝手に想像してしまう(笑)
石張りの親柱には、上流側に「千曲川」下流側には「栄橋」の銘板
街燈はちょっとカワイイ(笑)
土木学会の選奨土木遺産のプレートを発見
「中島武設計のRCローゼ桁群ー栄橋」の文字
左岸側から渡っていく
鋼製のローゼ橋はよく見るけど、鉄筋コンクリートのローゼ橋はあまり見ないから新鮮でなかなかいい気分w
アーチの窓から見る千曲川
護岸工事中みたいだけど(笑)
左右アーチリブを繋ぐ支材にもアーチリブと同様のデザインが施されている
この辺なんかもイイ、好みは分かれると思うけど
右岸側の親柱
映画「君の名は」にコンクリートローゼ橋が出てきたとき、新海監督が小海町の出身なので栄橋じゃないか? って話があったっけ(笑)
せっかくなので、ちょっと桁下へ廻ってみる
栄橋も見て、駅舎の向こうに見える山の方で仕事を終えて、JR小海線の松原湖駅
ほんと、仕事じゃなかったら電車で佐久平か小淵沢経由でのんびり帰るのにな~
以前、趣味で小諸から小淵沢まで小海線に乗ったときは素通りした松原湖駅
仕事の寄り道で来るとは思わなかった(笑)
駅舎には「駅ノート」が綺麗に置かれている
遊びで小海線に揺られて来て、たまたまこの駅で降りたって気分なら手に取ってみるけど、今回は仕事でちょっと寄っただけなので見ない。こういうのは同じ土俵にたたないと歪んで見てしまう
いつか、 見る機会があればいいなぁ・・・って思いながら会社へ