赤レンガの堤防が見たくなったので休日出勤を半休します
多摩川の河口、大田区羽田に残っているのが赤レンガの堤防「羽田旧煉瓦堤」
この堤防は大正7年から整備された後、埋め立てられて宅地化され、ほんの一部で分かりにくくはあるけど(笑)逞しく残されている
相も変わらず週末は休日出勤、体力よりも気力的にバテバテだった仕事を午前中で切り上げて、京急空港線に乗って天空橋駅まで寄り道する事にした。
「赤レンガの堤防」を見に行くために!
この日は残暑の炎天下、気温34℃(多分)、天空橋駅から人道橋の天空橋を渡り海老取川沿いに歩いていく。バテバテだった気分も炎天下でもどんどん元気になっていくのは子供と同じだなぁw
名前しか知らなかった天空橋を始めて見たが、人道橋とは意外だった。京急や東京モノレールの駅名にもなっている橋だから、自分のイメージ的には主塔がどーんと高い斜張橋だった(笑)
でも、こういう鋼製の桁橋は無骨で好き
天空橋を渡り海老取川沿いを歩いていくと弁天橋に着く
向こうに見えるのが旧穴森稲荷神社の大鳥居
べんてんばし、橋名板の漢字表記は「辨」の字が使われている
辨とは、「液体などの流れを調節するもの」
だから、昔のバルブの鉄蓋には「制水辨」などと、弁の旧字体で書かれた物が残っているけど、これがなかなか見つけられない
海老取川が多摩川へ合流する場所に「赤レンガの堤防」の案内看板があり、五十間鼻の沈床の紹介なども書かれている。今回は、釣り人が鈴なりで素通りしてしまったw
ちょっと看板の地図では見にくいので、赤レンガの堤防ルートは下図の様に徒歩10分程度の区間。「えさ政」の看板を右へ行き、本堤から離れて街中へ入っていく
ここが本堤(左側)と旧堤(赤レンガの堤防)との接合点。右側の道路沿いに赤レンガの堤防がある
ここからが、大正7年から造られた赤レンガの堤防が残っている場所。ネットで見ているから予備知識はあったけど思わず呟きそうになってしまった
「おぉおぉ・・・塀・・か?」
近所に、こんなレンガのプランターがある家を見かけたような気が・・・する
所々切れているのは、川へ出入りする場合に堤防へ切れ目を作る陸閘(りくこう)の跡
この辺りは羽田の猟師町(江戸時代から漁師の尊称として使われてたって、河川事務所の資料に書いてあった)だったので、こうした陸閘を作って川へのアクセスを容易にしてある箇所が多い
この凹んでいる所に木の板等をはめ込んで増水時の浸水を防ぐ機能があり、よく「角落しゲート」なんて呼ばれている
開口幅が大きくなると作用する水圧も大きくなり、分厚い板がはまるように角落し(凹んでいるところ)も大きくなる
新入社員のころ、この角落しをべニア板しか入らない幅で作ってエライ怒られたのを思い出し、感慨にふけりながらこの陸閘の写真を異常な程撮りまくっていた
ここの陸閘は二重になっていて、凹の所に鋼製の戸当たりまで埋め込まれているから他の陸閘より後に追加で造ったのかな?
もはや、陸閘だったのか、住宅に合わせて撤去されたのか・・・(笑)
先に見える首都高大師橋の手前で赤レンガの堤防もいったん途切れる
しかし、ここまでは殆ど埋まっているからチットモ堤防らしくない。国土交通省の近代土木遺産リストにも載る歴史的価値のある遺構なんだけど、どうしても「塀」に見える
ROM専気味のTwitterへ久しぶりにツイートしたいんだけど「レンガの塀かよ」って思われるだろうなって考えると、これがまたツイートし難くなってくる
首都高大師橋を越えて羽田の渡しの碑、旧大師橋の親柱を横目に歩いていくと、やっと堤防「らしい」形が見えてくる
ここは、船溜まりになっているので埋められておらず、旧堤防がそのまま残っている
ここでやっと堤防の全体を見ることが出来た。
う~んこの曲線! 海岸堤防か! 曲線の波返しを煉瓦で造ってあるんだ!
(埋まっていたから)知らなかった、分からなかった(笑)
正直言って、今まで見てきた「塀」のように残った堤防は「後付けのパラペット」(平たい屋根の縁に作っている様な低い立ち上がりの壁)なんじゃないかって思っていたんだけど多摩川の河口だもんね、海岸堤防だ
あまり気にしていなかったけど、レンガのイギリス積みもよくわかる(笑)
イギリス積みは、1段ごとにレンガの縦と横を変えて積んでいく方法。他にはオランダ式やフランス式などがあるけど、土木ではイギリス式が多いように感じる
高潮時の緊急避難用として使われる船溜まりの羽田第二水門と斜張橋の大師橋
因みに私の天空橋のイメージはこれだった(笑)
これで「赤レンガの堤防」ってツイート出来た!
大師橋の上から船溜まりと赤レンガの堤防を見る。埋め立てられた所もこんな感じでレンガの堤防が続いていたんだ
案内看板には、赤レンガの堤防は大師橋までとなっていたので帰ろうとしたんだけど、この先の本羽田公園まで赤レンガの堤防は残っている。
もう、完全に「塀」なんですけどね(笑)